【背景講座】ただの風景じゃない!背景に「物語」を語らせるコツ

キャラクターを描くことに慣れてくると、次に挑戦したくなるのが背景です。背景は、キャラクターを引き立てるための舞台であり、同時にその作品の「世界観」を伝える重要な要素です。しかし、ただの風景を描くだけではもったいない!

この記事では、背景を単なる「舞台装置」としてではなく、**そこに住むキャラクターの生活や、隠された物語を語らせるためのヒント**をお伝えします。背景に物語を込めることで、あなたのイラストはより深みを持ち、見る人を作品の世界へと引き込みます。

背景は「言葉」を持たない物語の語り手

キャラクターの背後にある背景は、多くの情報を伝えています。例えば、散らかった部屋は「だらしない性格」を、整理整頓された部屋は「几帳面な性格」を物語ります。背景は、セリフや説明がなくても、キャラクターの個性や、その世界の歴史を語ってくれるのです。

完璧なパースやリアルな描写は必要ありません。あなたが伝えたい「物語」や「空気感」を、背景に自由に詰め込んでみましょう。

背景に物語を語らせるためのヒント3選

まずは、あなたの描きたいキャラクターについて、その背景にどんな「物語」があるかを想像してみましょう。

1. 「時間」と「季節」を背景に込める

背景に「時間」と「季節」を意識的に加えるだけで、イラストにぐっと深みが生まれます。

  • 時間:朝焼け、昼間、夕焼け、夜など、時間帯によって光と影の表現が大きく変わります。キャラクターの表情や感情を、時間帯で表現してみましょう。
  • 季節:桜が舞う春、強い日差しが降り注ぐ夏、紅葉が美しい秋、雪が積もる冬。季節感のある背景は、キャラクターの過ごす時間の流れを感じさせてくれます。

背景に時間や季節を加えることで、その作品が「いつ」の物語かが一目で伝わります。

2. 「小道具」でキャラクターの個性を表現する

キャラクターの持ち物や、部屋にある小道具は、そのキャラクターの趣味や性格を語ってくれます。

  • 例1:本の虫のキャラクター
    部屋の背景に、積み重ねられた本や、書き込みがされたノートを描き加えてみましょう。
  • 例2:冒険家のキャラクター
    部屋に地図やコンパス、旅の途中で手に入れた不思議なアイテムを描き加えてみましょう。

これらの小道具は、見る人に「このキャラクターはこんな子なんだ」という親近感を与えてくれます。

3. 背景に「物語の痕跡」を残す

背景に、物語の始まりや過去の出来事を匂わせるような「痕跡」を残してみましょう。

  • 例1:廃墟になった魔法学校
    壁に描かれた魔法陣の跡や、朽ちた魔法の杖が転がっている背景を描いてみましょう。この場所で、かつてどんな物語があったのか、見る人に想像させることができます。
  • 例2:戦いの後の街
    地面に散らばった瓦礫や、壊れた街灯などを描いてみましょう。キャラクターがどんな困難を乗り越えてきたのかを、背景が静かに語ってくれます。

背景は、あなたの物語を語るための、もう一人の主人公です。あなたの「好き」や「描きたい」という気持ちを、背景に自由に詰め込んでみてください。